古琴(gǔqín)の演奏会のチケットをいただいた。古琴は中国の伝統楽器。3000年の歴史があるという。
 自分の頭の中に浮かぶのは、諸葛亮孔明が空城の計で琴を弾いている場面だ。機会があれば生で聴いてみたいものと思っていた。
 演奏会は6時開場なので、一度帰宅しようかと思ったが、資料をまとめる作業があったので図書館を探してみた。すると、通勤途上の十条駅と会場のある王子とのちょうど中間に北区立中央図書館が見つかった。
 おいしそうなお店が目に付く通りに春の陽射しがまぶしい。陸上自衛隊十条駐屯地の前を通り過ぎると公園がありその先が図書館らしい。
 自衛隊駐屯地の入り口もそうだがIMG_5327、この中央図書館もレンガで作られたところが残されている。大正8年(1919年)に作られた赤レンガ倉庫だったのだ。昭和15年に東京第一陸軍兵廠第一製造所と呼ばれ、戦後はアメリカに接収された。昭和33年(1958年)に返還され民間企業に貸し出された後、平成20年(2008年)北区の中央図書館になったらしい。中に入ってみると一部の壁を除いて赤煉瓦はない。しかし、床をガラス張りにして赤煉瓦の土台を見られるようにしてあったり、レンガ建築についての展示があったりして倉庫の歴史を見られるように工夫をしている。
 開架書架が広々としていて気持ちがいい。「ドナルド・キーンコレクションコーナー」もある。名誉区民のドナルド・キーン氏の寄贈した図書を公開しているそうだ。あれこれ見てしまうが、やらなければならないことがあるので席を探して作業をする。
 図書館としても充実しているし歴史建造物として地元の人も愛着もあるのだろう。昨年から出先で図書館に入ることが何度かある。たまたまかもしれないし、自分の主観に過ぎないが、利用者のマナーもいいような気がした。
 入り口にあるベーカリーも居心地が良さそうだ。もっとレンガ造りの建物として残して欲しかった気もするが、耐震性や図書館としての機能のことを考えれば仕方がないだろう。むしろハイブリッドの形でここまで残して図書館として生まれ変わらせたことはすばらしい。多くの自治体も「考えた箱物、愛される箱物」を作るべきと思った。
 3000年ほとんど構造が変わっていないという古琴の音が頭の中に残る帰宅途中、自分の周りに百年後に残っているものはどれだけあるだろうかと思った。

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