読んだ本から処分しようとしているが、なかなか減らない。読まないで処分した方が早いのはわかっているのだが、根がしみったれているというのもあるが、本というものを読まないで捨てるというのがなかなかできない。
もうカバーが破れている新書。いつ買ったのだろう。
昭和五二年(奥付の表記)の発行だ。昭和52年は1977年。裏表紙をめくると鉛筆で「200」と買いてあるので古本屋で買ったに違いない。定価は390円だ。どこの古本屋かも忘れてしまった。 第333号 でも書いたが、学生時代と違って働いていると本を読めなくなる。長編小説などは特にそうだ。詩ならばちょっとした時間を見つけて読めると安易に考えていたのかもしれない。
読み始めるとなかなかおもしろい。比喩・リズム・形式・表現技巧など項目ごとに分けているが、詩をふんだんに引用して解説調にならずに説明している。若い読者に詩の魅力を伝えたいという筆者の気持ちが伝わってくる。巻末に用語・人名の索引もあるのも丁寧だ。新書にふさわしい本作りだ。
著者の嶋岡晨氏は1932年生まれ。不勉強で失礼ながら存じ上げなかったが、まだご存命である。著書もたくさんある。谷川俊太郎は1931年12月生まれで氏は3月生まれだから同学年ということになる。検索していたら、ある方が高校時代に郷里の高知で教員をしていた嶋岡氏に国語を教わったという思い出を綴ったサイトを見つけた。この新書にはその教員経験も生きているのかもしれない。
ところでこの本の各章の扉に名画が載っている。その章の内容と直接関係があるわけではない。昔の本にはよくあったようにも思う。章のタイトルだけでは淋しいと思って、著者の好きな絵を載せているのかもしれない。読み始めたとき大きめのしおりがあるのに気がついた。前の持ち主が美術展で買ったものらしい。アングルの『泉』だ。古本屋に売るときに挟み込んだまま売ったのだろう。
第4章を読み終わったところで、おっ、と思った。
5章の扉は アングルの『泉』だったのだ。調べてみると、国立西洋美術館でアングル展が催されたのは1981(昭和56)年4月から年6月。この本が出版された4年後だ。前の持ち主はこの本を読んでいて、たまたま開催されていたアングル展に出かけたくなったのだろうか。
どうでもいいことだがあれこれ考えてしまった。
おそらくないとは思うののだが、一番恐ろしいのは自分がアングル展に行ってしおりを挟み込んだことを忘れていることである。いやいや、これはない。
※ コメントは表示されないようになっていますが、書いていただければ私の方には届きます。
第333号 たまにはエッセー本を。『ザ・万遊記』 の巻
2024年11月30日
『詩のたのしさ』 嶋岡晨著 講談社現代新書484
昭和五二年八月二〇日第一刷発行 定価390円
もうカバーが破れている新書。いつ買ったのだろう。

昭和五二年(奥付の表記)の発行だ。昭和52年は1977年。裏表紙をめくると鉛筆で「200」と買いてあるので古本屋で買ったに違いない。定価は390円だ。どこの古本屋かも忘れてしまった。 第333号 でも書いたが、学生時代と違って働いていると本を読めなくなる。長編小説などは特にそうだ。詩ならばちょっとした時間を見つけて読めると安易に考えていたのかもしれない。
読み始めるとなかなかおもしろい。比喩・リズム・形式・表現技巧など項目ごとに分けているが、詩をふんだんに引用して解説調にならずに説明している。若い読者に詩の魅力を伝えたいという筆者の気持ちが伝わってくる。巻末に用語・人名の索引もあるのも丁寧だ。新書にふさわしい本作りだ。
著者の嶋岡晨氏は1932年生まれ。不勉強で失礼ながら存じ上げなかったが、まだご存命である。著書もたくさんある。谷川俊太郎は1931年12月生まれで氏は3月生まれだから同学年ということになる。検索していたら、ある方が高校時代に郷里の高知で教員をしていた嶋岡氏に国語を教わったという思い出を綴ったサイトを見つけた。この新書にはその教員経験も生きているのかもしれない。
ところでこの本の各章の扉に名画が載っている。その章の内容と直接関係があるわけではない。昔の本にはよくあったようにも思う。章のタイトルだけでは淋しいと思って、著者の好きな絵を載せているのかもしれない。読み始めたとき大きめのしおりがあるのに気がついた。前の持ち主が美術展で買ったものらしい。アングルの『泉』だ。古本屋に売るときに挟み込んだまま売ったのだろう。
第4章を読み終わったところで、おっ、と思った。5章の扉は アングルの『泉』だったのだ。調べてみると、国立西洋美術館でアングル展が催されたのは1981(昭和56)年4月から年6月。この本が出版された4年後だ。前の持ち主はこの本を読んでいて、たまたま開催されていたアングル展に出かけたくなったのだろうか。
どうでもいいことだがあれこれ考えてしまった。
おそらくないとは思うののだが、一番恐ろしいのは自分がアングル展に行ってしおりを挟み込んだことを忘れていることである。いやいや、これはない。
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第333号 たまにはエッセー本を。『ザ・万遊記』 の巻
2024年11月30日
『詩のたのしさ』 嶋岡晨著 講談社現代新書484
昭和五二年八月二〇日第一刷発行 定価390円

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