自分は日本語の語彙をどれだけ知っているのだろうか。毎日のように、「こんな言葉知らなかったな。」とか「この読みで正しいのかな。」と思うことがある。さらに他の言語を学ぶとなると、どれだけ辞書を引かねばならないのかと思う。まあ、「~ねばならない」などと思わずに引いて楽しんでいればいいのだが。
 初めて目にする言葉はたくさんある。それが一般的な語彙なのかは、日本なら広辞苑に載っているというのが一つ基準として考えられることがある。中国語なら現代漢語辞典に載っているかが話題になることがある。
 新しい言葉が生まれたり、以前からあった言葉がはやりの言葉になった場合、社会的な変化から字句に何らかの意味が付加されているだろう。その背景がわからなければ言葉に含まれるニュアンスはわからない。使う場面を間違えることもあるだろう。
 もちろん中国語の知識は新語を理解するのにも役に立つ。もう古くなってしまったが、月光族という言葉が出てきたことがあった。これは中国語を知らないとムーンライトを想像してしまうが、"光"には「何もない、何も残っていない」という意味があり、動詞の補語としてよく使われる。"吃光了"と言ったら、皿に残さずすっかり食べた、ということだ。というわけで月光族は月給をもらったらすっかり使ってしまう人のことを指す。
 『ふしぎな中国』近藤大介著を少し前に読了2025.07.30ふしぎな中国。中国の新語、流行語を紹介しながらこの数年の中国の変化を解説している。その内容から考えるとタイトルはいかがかと思う。が、自分に対案はないが。中国語の知識があったほうが理解しやすいところもあるが、そうでない人が読んでも中国社会の変化を理解できる。
 本書には章ごとに34の言葉が紹介されているのだが、帯に書かれている語だけでもどれだけ知っているだろうか。
 さすがに"白卫兵"などは「紅衛兵」を知らないとおもしろくもなんともない(「紅衛兵」と聞いてピンとくる人がどれだけいるかわからないが、この章では文革のことも説明しているので大丈夫である)。
 著者がある程度の考えを持ってこれらの語を並べたのか、それとも流行っている語を集めた結果なのかはわからないが、習近平体制の行き詰まりというか、人々がそれに嫌気がさしている印象を受ける。表だった抵抗はせず政府の干渉を受けずに生活の仕方が少しずつ変化させているようにも見える。これは連鎖的に日本にも影響があるのだが、多くの人は気づかないだろう。
 気をつけたいのはここに出てくるような言葉は中国人はみな知っているかというとそういうわけではないということだ。試しに"凡学"という言葉をたまたまそばにいた中国人に聞いてみたら、知らないと言っていた。日本人同士でも世代や職業、地域によってうまく伝わらないことがあるわけだから当たり前なのだが、会ったことのある中国人を中国人代表のように思ってしまいがちだ。

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ふしぎな中国 (講談社現代新書)
近藤 大介
講談社
2022-10-20




『ふしぎな中国』近藤大介著 講談社現代新書2680
2022年10月20日 第1刷発行  ¥900+税