中国語を勉強したり、通訳のトレーニングをして良かったと思うことの一つは自分の日本語を見直すことになったことである。自分の書く文章は今も下手くそだが、昔はもっとひどかったと思う。
 厳密に言えば単純な話ではないのだが、中国語のセンテンスはS V Oの構造である。これは英語なども同じなのだが、修飾語は前から後ろの語に修飾する。英語は後置修飾なので、関係代名詞などを使うと一つの文は結構長くすることができる。日本語は言わずもがな、動詞の連用形で点を打ってつなげたり、助動詞や助詞をくっつけたりするとだらだらと長くなる。短い文をつなげて文章を作っていくということは、やれそうで結構できない。頭の中にあることを短い文でつなげて行くには、まず自分の考えを整理することが必要だ。
 あまり考えもせずに話し始めて、やたらと「~~が、」「……で、」とつなげてしまうことがよく見かけるし自分にもよくある。とくに接続助詞の「が」というやつは気をつけないと逆接でもないのに知らず知らずのうちに使ってだらだら文にしてしまうことがある。
 少し前に『日本語練習帳』(大野晋著)を読了。2025.07.18日本語練習帳
 26年前に出版されているが、どこかに置いたままになっていたのだ。朝出かけるときに一冊は持って行くことにしていて、床に積んである一角にあるこれが目に付いた。新書は手に取りやすい。
 この中で「『が、』を使うな」を文章の心得の一つとして挙げている。「が、」を使わないように気をつけるだけで頭の中を整理する癖が付くとも言える。
 そもそもセンテンスどころか単語でしか言葉を発しない人も増えてきているので、まずセンテンスとしてどう表現するかというところから始めるべきかもしれない。
 「思う」と「考える」の違いを言えるかという問いかけから始まり、「は」と「が」の使い分けに触れ、最後の章「敬語の基本」では全体の1/4を使っている。いい文章はすぐに書けるようにはならない。けれどそういう心がけがなければうまくはならない。少なくとも自分の日本語を点検する意味に置いて、この本を読むのは無駄ではない。たぶん古本屋なら100円か200円といったところだろう。アイスを一つ我慢すれば手に取れる。

日本語練習帳 (岩波新書)
大野 晋
岩波書店
2014-12-18


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『日本語練習帳』大野晋著 岩波新書 新赤版596
1999年1月20日 第1刷発行
1999年4月22日 第11刷発行 ¥660+税