朝日新聞の「しつもん!ドラえもん」は毎日見ている。小学生に向けた問題くらいはわからなければなるまいと思っているが、時々怪しいものもあって答えも確認している。先月5月16日は「ぼうえき編」として次の質問だった。
「外国人観光客が大量の商品をまとめ買いすることを何というかな?」
こたえは「爆買い」であり、 「特に中国人が目立ち、2015年には「爆買い」が流行語大賞に選ばれた。円安で日本の製品が割安になったんだ。化粧品や衣類がよく買われるよ。」と説明があった。この記事に違和感を覚えたのは私だけだろうか。
この「爆買い」という言葉は日本のメディアが中国人観光客を揶揄して使ったものである。社会現象というものはただそれを面白がったり嫌悪したりするのではなく、その背景を考えまた自分の社会も客観的に見る機会にもすべきだ。バブルの頃日本人が欧米でブランド品を友人や親戚の分まで大量に買っていたのはどう見られていたのかと振り返れば安易に見下したような言葉は使えないのではないか。
以前同僚から「中国人も『爆買い』って言うんですか?」と聞かれて何の疑問も持たずにはやっている言葉を受け入れているように思われてどう話そうかと逡巡し、おそらくこちらの話をわかってもらうのには時間が掛かりそうなので適当に話したことを思い出した。
検索していて「流行語大賞「爆買い」と中国語“爆买”間のイメージギャップ」(馬麗梅)という論文によると「爆」という字は日本語ではネガティブイメージがあり、中国語ではニュートラルで言葉の逆輸入も起きているそうだが、発生と定着には日本人の側に揶揄的な意味合いがあったことは間違いない。
小さなコラムで時代背景や人々の認識、それにまつわる問題まで説明できるはずもなく、「流行語大賞に選ばれた」からといってそれがひとつの正当な言葉とされるわけではない。別の年の専攻についてだが、選考委員のやくみつる氏が「その言葉が物議を醸すなり、そこから議論が巻き起こるのも広い意味での流行語である」(新語・流行語大賞(Wikipedia))と言っていてそれはそれで理解できる。しかし、この「しつもん!ドラえもん」というコラムは子どもたちに知識を広げて欲しいという思いがあると私は思うので、ここで使われるのは疑問がある。例えば、数年後に大学や高校の授業の中でこの言葉が流行した時代と背景を日本人の意識を多角的に考えるならばなかなか面白い内容になるだろう。
朝日新聞の編集部がこの拙ブログを見ることはないだろうが、見解を伺いたいところである。
本題に入る前に長くなってしまった
。『日本の「中国人」社会』中島恵著を読了。この本の出版は2018年。コロナ禍前だ。確かその頃自宅からそう遠くない中国食材を売っているスーパーに出かけたところ中国人向けの託児所や中国語しかない看板のレストランが建ち並んでいて中国エリアに入った感じがした。それでこの本を購入していたのだが読まないまま本棚にあったのだった。もう既に7年経ってさらに状況は変わっているだろう。変わっていないのは日本人の中国に対する意識のように思う。
最近本棚に手を伸ばしてこの本を手にしたのは毎日のように都内の中国エリアに行き始めたからである。今までも中国の人と接してきたが考えてみれば仕事に近い人が多く、広い範囲の人とは接してこなかったことに気づいたのだ。
この本は中国の人と中国語を使って仕事をしている人にはわかっていることが多いだろう。私も今までの知識を補完したり整理できたりした気がする。中国語を学んだことのない人も日本の中の中国人社会を知りながら、日本の社会を振り返るきっかけになるだろう。この本が出たときの在日中国人は70万人。今は87万人である。繰り返すが日本人の意識が変わっていないことはいいことではない。「きちんと知ろう」とする入り口になると思う。
付け足しになるが、読んでいたら自分が今関わっているところが出てきたのにちょっとびっくりした。
※ コメントは表示されないようになっていますが、書いていただければ私の方には届きます。
『日本の「中国人」社会』 中島恵著 日経プレミアシリーズ393
二〇一八年一二月十日 一刷 日本経済新聞社 ¥850+税
「外国人観光客が大量の商品をまとめ買いすることを何というかな?」
こたえは「爆買い」であり、 「特に中国人が目立ち、2015年には「爆買い」が流行語大賞に選ばれた。円安で日本の製品が割安になったんだ。化粧品や衣類がよく買われるよ。」と説明があった。この記事に違和感を覚えたのは私だけだろうか。
この「爆買い」という言葉は日本のメディアが中国人観光客を揶揄して使ったものである。社会現象というものはただそれを面白がったり嫌悪したりするのではなく、その背景を考えまた自分の社会も客観的に見る機会にもすべきだ。バブルの頃日本人が欧米でブランド品を友人や親戚の分まで大量に買っていたのはどう見られていたのかと振り返れば安易に見下したような言葉は使えないのではないか。
以前同僚から「中国人も『爆買い』って言うんですか?」と聞かれて何の疑問も持たずにはやっている言葉を受け入れているように思われてどう話そうかと逡巡し、おそらくこちらの話をわかってもらうのには時間が掛かりそうなので適当に話したことを思い出した。
検索していて「流行語大賞「爆買い」と中国語“爆买”間のイメージギャップ」(馬麗梅)という論文によると「爆」という字は日本語ではネガティブイメージがあり、中国語ではニュートラルで言葉の逆輸入も起きているそうだが、発生と定着には日本人の側に揶揄的な意味合いがあったことは間違いない。
小さなコラムで時代背景や人々の認識、それにまつわる問題まで説明できるはずもなく、「流行語大賞に選ばれた」からといってそれがひとつの正当な言葉とされるわけではない。別の年の専攻についてだが、選考委員のやくみつる氏が「その言葉が物議を醸すなり、そこから議論が巻き起こるのも広い意味での流行語である」(新語・流行語大賞(Wikipedia))と言っていてそれはそれで理解できる。しかし、この「しつもん!ドラえもん」というコラムは子どもたちに知識を広げて欲しいという思いがあると私は思うので、ここで使われるのは疑問がある。例えば、数年後に大学や高校の授業の中でこの言葉が流行した時代と背景を日本人の意識を多角的に考えるならばなかなか面白い内容になるだろう。
朝日新聞の編集部がこの拙ブログを見ることはないだろうが、見解を伺いたいところである。
本題に入る前に長くなってしまった
。『日本の「中国人」社会』中島恵著を読了。この本の出版は2018年。コロナ禍前だ。確かその頃自宅からそう遠くない中国食材を売っているスーパーに出かけたところ中国人向けの託児所や中国語しかない看板のレストランが建ち並んでいて中国エリアに入った感じがした。それでこの本を購入していたのだが読まないまま本棚にあったのだった。もう既に7年経ってさらに状況は変わっているだろう。変わっていないのは日本人の中国に対する意識のように思う。最近本棚に手を伸ばしてこの本を手にしたのは毎日のように都内の中国エリアに行き始めたからである。今までも中国の人と接してきたが考えてみれば仕事に近い人が多く、広い範囲の人とは接してこなかったことに気づいたのだ。
この本は中国の人と中国語を使って仕事をしている人にはわかっていることが多いだろう。私も今までの知識を補完したり整理できたりした気がする。中国語を学んだことのない人も日本の中の中国人社会を知りながら、日本の社会を振り返るきっかけになるだろう。この本が出たときの在日中国人は70万人。今は87万人である。繰り返すが日本人の意識が変わっていないことはいいことではない。「きちんと知ろう」とする入り口になると思う。
付け足しになるが、読んでいたら自分が今関わっているところが出てきたのにちょっとびっくりした。
※ コメントは表示されないようになっていますが、書いていただければ私の方には届きます。
『日本の「中国人」社会』 中島恵著 日経プレミアシリーズ393
二〇一八年一二月十日 一刷 日本経済新聞社 ¥850+税

コメント