ここ二三日は5月の陽気かと言われるほどだが、これはひと月ほど前の話。
 いやな予感があった。
 朝、駅に着くと電車が行ってしまったばかりで、次の電車は東所沢どまりであった。新秋津でおりてお昼の弁当を買おうと思っていたところに行ってみると更地になっていて建て替えるのか閉店になったのかという状態だった。仮店舗で営業していることも知らずコンビニであまり面白くないお昼を買い、気を取り直して西武線に乗りこんだ。ちょっとずつうまくいかないことが重なっている。 そんなこんなで西吾野駅から歩き始めたのは11時45分過ぎ。静之神社くらいまでは舗装してある道。傾斜が結構あるので体が温まる。静かだ。自分1人。気持ちがいい。杉の木立の中を登っていく。
 途中少しわかりにくいところがあったが、子の権現に到着。2025.02.21子の権現山門
 山の上にある年を経た寺の山門という感じである。自分の他にはカップルが一組だけ。話している言葉が中国語だった。
 本堂は登った先を更に折り返したところにある。大きな鉄のわらじが見える。日本一の大きさらしい。このお寺は足腰守護の寺院ということだ。
 本堂の裏手の更に高いところに奥の院がある。登ってみるとスカイツリーが見えると書いてある。「あれがそうかな?」という感じで少しかすん2025.02.21子の権現からスカイツリーでいるが、なんとか認識できた。双眼鏡を持ってくれば良かった。
 山門を出た向かい側を少し登ったところに東屋があった。中央は囲炉裏のように火を使えるようになっている。これはありがたい。コーヒーを淹れて少し遅めの食事をとることにした。私一人の貸し切り状態である。コーヒーを飲みながら気ままに周囲をうろうろした。2025.02.21子の権現ロングトレイル標識
 さて、今回のルートはこの後竹寺に寄って県道53号に出てバスで飯能駅に戻らなければならない。バスには暗くなる前に乗りたい。急ぐことにした。
 東屋を下りて「竹寺」と書いてある標識を見て下りていった。標識に(車)とあるのが気になったが、竹寺の方に行くのは間違いなかろうと舗装された道を歩いて行った。とても急な坂を下りていく。そう言えば子の権現の境内にバイクラックがあったが、こんな道を自転車で上がってくる人がいるのだろうか。
 登山道に入るところがどこかにあるのだろうとのんきに歩いているうちに結構下りてきてしまった。木々がこんもりしているところが見えると「あれが竹寺かな?」と思うのだが小さな神社であった。のんきに歩いているうちに丁字路にぶつかった。小さな標識があり、右に矢印で「竹寺 車で5分 2,5km」とあるではないか。登山道はもっと別のところにあったのだ。これはアホなことをしたものだ。
 木々の中を歩けなかったことは残念だが、ほとんどすれ違うこともなく気持ちよく歩けたことは悪いことではないと思い直すことにした。ここまできて竹寺に行かないのはつまらないし、竹寺まで行かないとバス停の位置もよくわからないので竹寺を目指すことにした。
 車道ではあるが結構斜度がある。きっと子の権現から豆口峠を歩くのはちょっとした尾根道だったのだろう。それなのに車道をわざわざ下りてきてまた車道を上っているのだ。何しにきたのかと一人でふらふら登っていく。
2025.02.21竹寺ロングトレイル標識 ようやく竹寺に到着。が、ゆっくり見ているヒマはない。16:16のバスに乗らないと1時間近く次の便がないし、暗くなってしまう。すぐにバス通りに向かうことにした。
 竹寺からバス通りに下りていく道は登山道ではあるもののかなり急である。気をつけないと滑る。怪我はしたくないので気をつけながら急ぐ。
 ようやく県道53号線に出た。ここに出るのか。自転車で通ったことのある見覚えのある道だ。小殿バス停に着いたのはバスの時刻の8分前。ほっとした。
 バスの窓を眺める。四里餅のお店が見えた。そう言えば何年か前に買ったな、飯能の駅で買えるかななんて思っているうちに駅に着いた。
 やれやれ、一人で気楽に歩くのは悪くはないが、ちゃんと調べないと普通の道を歩いただけになってしまう。このコースはもう一度やり直しだと思いながら帰り道を急ぐと新秋津のホームは人があふれかえっていた。どこかでトラブルがありダイヤが乱れているらしい。とてもではないが次の電車が来ても乗れそうにない。仕方なく1本見送って待っていると、「次の電車は6両目と7両目はガラスが破損していて乗車できません」のアナウンス。自分の立っているところを見ると6両目であった。8両目以降にに移動するも列の最後尾。またも乗れず。運の悪い日はこういうものだ。

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