前から読んでみたかったのが、万城目学氏のエッセイ。しばらく前に読了。考えてみたらエッセイ集を読むのは久しぶりかもしれない。
 エッセイにはどうしても書き手の生活感や趣味、過去の経験などがにじみ出る。さてさて、どんな感じやら。
 エッセイでも、いや、エッセイだからこそ万城目節が効いていて面白い。このエッセイ集はスポーツ雑誌の連載を集めているものもあるのだが、氏の軽快な文体はスポーツの描写でも活きると思う。氏がサッカー好きでフットサルをすることも初めて知2024.11.30『ザ・万遊記』った。フットサルでアキレス腱を切ったくだりは、怪我を負ったことは痛々しいのだが、その後の記述は笑ってしまった。私は今までアキレス腱を切ったり骨折したりしたことはないが、これからも気をつけよう。
 カレンダーに読んだ本のタイトルを記入していて、11年目に毎年の11月を並べてみたという話があった。氏がどんな本を読んできたのか、もちろん興味深いのだが、その中に「会社員時代は本当に本を読まなかった。正確には、読む気力がなかった。」とあり、数年後に作家になるような人でもそうなのかと思った。私自身も働くようになってから、なかなか本が読めない、本を読んで読後感を人に話すと言うことが少なくなったことを痛感した経験があった。落ち着いた気持ちで本を手にできない時間が多く、自分のキャパシティが狭いのか、あるいは精神が弱いのかと思っていた。どうも多くの人がそうなのかもしれない。そう言えば、読んではいないが少し前に『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』という新書があった。
 「渡辺篤史の建もの探訪」というテレビ番組をネタにしたものや学生時代のちょっとした体験などくすっと笑えるものに出会える。スポーツ観戦記も面白い。中でもサッカーW杯の予選、北朝鮮vs日本の試合をアウエーの平壌で観戦した『眉見にシワして、北朝鮮(前後編)』はスポーツ観戦の域を超えて興味深い。
 エッセイ集は忙しいときでもちょっとずつ読んで気分を変えたり笑えたりできるのが魅力である。『ザ・万遊記』はエッセイ集としては2作目で1作目はまだ読んでいないが近いうちに手に取りそうな気がする。
 
ザ・万遊記 (集英社文庫)
万城目 学
集英社
2012-05-18







 『ザ・万遊記』 万城目学著 集英社文庫 ま 21-1
2012年 5月25日 第1刷  ¥514円+税

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 第275号 古本屋あんぎゃ1南浦和 の巻
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