椎名誠著『ぼくがいま、死について思うこと』読了。一年くらい前に氏の『ぼくは眠れない』という新書を読んだ( 第211号 ヒトは寝るのだ の巻 )。それはたまたま氏のことを検索していてその本を目にして読んだのだが、その本を探しているときに、この本も出てきて気になっていたのだ。眠れない、と来て、死について思う、だ。が、実はこちらの方が先に出版されている。
『ぼくは眠れない』は、海、山、川で元気に遊んでビールを飲む、といった風の氏が実は精神的に悩みを抱えていた、というものであった。こちらは、
ガハハとビールを飲んでいた氏も80歳を過ぎて死について考えるようになったという感じだ。氏の著作で楽しませてもらった人は、いつまでもガハハとビールを飲んで元気をもらいたいという人もいるだろうし、一方、歳を重ねてどう変化していくのかに興味がある人もいるだろう。
氏は若いときから自分自身で色々な土地に行き自分の目で見て感じたことを自分の言葉で表現してきたわけだが、本書の中でもこれまで見てきた各国各地の墓や葬送について書いている。レビューなどでは、死について論じるのかと思ったのにいろいろな墓地や埋葬について書かれていて……というようなマイナスの書き方を見かけたが、いろんな國や地域の葬儀や墓のあり方というのは、人間の生きる生活環境や宗教によって死についての考え方が醸成されてきたことを気づかせてくれる。日本語の「行き倒れ」とか「野ざらし」といった負のイメージを持った語についても違った意味合いが見えてくる。埋葬やら墓のあり方、葬儀など私たちの死をとりまく様々な事柄を改めて考えさせられるわけで、死について考える材料になると思う。土葬、火葬、風葬、鳥葬、水葬、樹葬……。日本は選択の幅が少ないのも、なんだか自分の死が束縛されているような気にもなってくる。
無宗教の人が多いのに(だからかもしれないが)最近まで葬儀や埋葬に関しては思考停止で、型にはまったように行われてきたように思う。
解説は氏の主治医である中沢正夫氏が書いている。「人には『生き生き生きている人』『生きている人』『息をしている人』がいる。」で始まる。大した生を生きてもいないのに死を考えてもしかたがない気がしてきた。死んでいない意味、生きて存在している価値はなかなか実感できるものではない。というか、そんなことを実感するより、そんなことを考える暇がないほど夢中になっている時間の割合が多いというのが幸せなのかもしれない。そして 第211号 ヒトは寝るのだ の巻 にあったように寝ることが大事なのだ。
「少し長いあとがき」は2013年1月
第211号 ヒトは寝るのだ の巻
2023年07月27日
『ぼくは眠れない』は、海、山、川で元気に遊んでビールを飲む、といった風の氏が実は精神的に悩みを抱えていた、というものであった。こちらは、
ガハハとビールを飲んでいた氏も80歳を過ぎて死について考えるようになったという感じだ。氏の著作で楽しませてもらった人は、いつまでもガハハとビールを飲んで元気をもらいたいという人もいるだろうし、一方、歳を重ねてどう変化していくのかに興味がある人もいるだろう。氏は若いときから自分自身で色々な土地に行き自分の目で見て感じたことを自分の言葉で表現してきたわけだが、本書の中でもこれまで見てきた各国各地の墓や葬送について書いている。レビューなどでは、死について論じるのかと思ったのにいろいろな墓地や埋葬について書かれていて……というようなマイナスの書き方を見かけたが、いろんな國や地域の葬儀や墓のあり方というのは、人間の生きる生活環境や宗教によって死についての考え方が醸成されてきたことを気づかせてくれる。日本語の「行き倒れ」とか「野ざらし」といった負のイメージを持った語についても違った意味合いが見えてくる。埋葬やら墓のあり方、葬儀など私たちの死をとりまく様々な事柄を改めて考えさせられるわけで、死について考える材料になると思う。土葬、火葬、風葬、鳥葬、水葬、樹葬……。日本は選択の幅が少ないのも、なんだか自分の死が束縛されているような気にもなってくる。
無宗教の人が多いのに(だからかもしれないが)最近まで葬儀や埋葬に関しては思考停止で、型にはまったように行われてきたように思う。
解説は氏の主治医である中沢正夫氏が書いている。「人には『生き生き生きている人』『生きている人』『息をしている人』がいる。」で始まる。大した生を生きてもいないのに死を考えてもしかたがない気がしてきた。死んでいない意味、生きて存在している価値はなかなか実感できるものではない。というか、そんなことを実感するより、そんなことを考える暇がないほど夢中になっている時間の割合が多いというのが幸せなのかもしれない。そして 第211号 ヒトは寝るのだ の巻 にあったように寝ることが大事なのだ。
『ぼくがいま、死について思うこと』 椎名 誠著 新潮文庫 し-25-39
平成28年1月 1日 発行
平成28年1月25日 二刷 ¥469+税
「少し長いあとがき」は2013年1月
第211号 ヒトは寝るのだ の巻
2023年07月27日

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