『偉大なる、しゅららぼん』万城目学著、読了。これは古本屋「ゆとぴやぶっくす」( 第275号 古本屋あんぎゃ1南浦和 の巻 )で買ったものだ。こんなふうに、この本はどこで買ったかなんて記憶に残っているのもまた楽しい。「どこで買ったか」はいつ頃買ったかに結びつく。「いつ頃買ったか」はその時の自分を思い出す。
 実は少し前に読み終わっていたのだが、例によって映像化されたものがあるとそれを見たくなってしまって書くのが遅れたのだ。
 文庫化は2013年12月。映画は2014年32024.04.28偉大なる、しゅららぼん文庫月8日に公開されている。画像を見ておわかりのようにカバーの上にまた映画のタイアップの宣伝カバーが掛けられている。もうキャストがわかってしまうと、読んでいて登場人物のイメージが固定されてしまって面白くないが、しかたがない。
 『鴨川ホルモー』が京都、『鹿男あをによし』が奈良、『プリンセス・トヨトミ』が大阪で、これは滋賀が舞台である。滋賀といえば琵琶湖。湖が絡んでくる。琵琶湖は自転車で(不完全に)一周したことがあって想像しながら読んだ。万城目学の作品は、荒唐無稽の設定の中で一つの完結した世界を構成する力がある。これはこの作品も同様であるが、住んでいるお城や学校以外の舞台が、ちょっと物足りない。それは滋賀の方には申し訳ないが、京都や奈良、大阪には特徴ある建造物や特筆すべき場所が豊富なのに比べて、琵琶湖は竹生島の他には描くのが難しい面であるからだろう。
 DVDのレンタルは近くの店にはなく、手間取ってしまった。あまりヒットしなかったからだろうか。キャストは万城目作品にはおなじみの濱田岳に岡田将生。これはいい。速水さんは大野いとというモデル兼女優で、素人っぽいところが合っている。一番疑問なのは清子役の深田恭子だ。うーん、自分だったら誰を使うか答えは出ないが、原作の中の清子に合いそうな女優がいるような気がする。笹野高史の配役はバッチリだが、こんなキャリアの俳優が演じていると、この登場人物はストーリーにきっと絡んでくるなと、途中で観客は感づいてしまうかもしれない。キャスティングは難しい。
 キャストについてあれこれ言うのは毎度のことだが、総じて原作のストーリーをよくまとめていると思う。どうしても細部は省かなければ2時間の作品には収まらない。あまり省いてしまうと万城目作品にある細かい伏線などがなくなってしまい残念である。そのギリギリのところを狙うのは大変だ。細かいところにユーモアやほろ苦さがあるので、そこを映画で表現するのは難しい。原作を読んでいる時、「しゅらららららららららら……」のところなど映画ではどう表現しているのか気になった。もう少し面白く出来たかもしれない。
 原作はおもしろい。映画は原作を活かそうとした努力を感じたので、よし。
 マンガ化された作品もあるが、未読。

 第275号 古本屋あんぎゃ1南浦和 の巻
 2024年02月21日
   第262号 『とっぴんばらりの風太郎』 の巻    
   2023年12月29日   
 第216号 『プリンセス・トヨトミ』 の巻 
 2023年08月14日 
   第99号 『鹿男あをによし』 の巻  
   2022年08月31日
   第106号 ホルモオオオォォォーッ の巻
 2022年09月26日
 『偉大なる、しゅららぼん』 万城目学著 集英社文庫 ま-21-2 ¥760+税
2013年12月20日 第1刷