『坂の上の雲』のビデオを見終えたと書いた。こちら 本を読み終えたときが、横須賀に出張に行ったときで感慨深かったが、ビデオを見終わったときは、ロシアが侵攻しているときでなんともいやな気分だ。ロシアは本質的に変わっていないのではないかという気持ちになる。
 ドラマ作品はよくできていると書いた。脚本も四人の名が上がっているし、普通の作品ではない、「脚本諮問委員会」というものがあり7人の中には著名な学者もいる。力の入れようがわかるというものだ。好古の妻の多美、真之の妻の季子、それに正岡律は小説ではわずかな描写しかないのだが、ドラマではけっこう出てくる。見る方も戦争ばかりではうんざりだから、ロマンスがあったほうが和むだろう。
 かなりの人間が死んでいく。司馬遼太郎はドラマ化のオファーに対しては「戦争賛美と誤解される、作品のスケールを描ききれない」として許可しなかったそうだから、あえて悲惨さを強調したのかもしれない。「作品のスケール」の面はデジタル映像技術の進歩と多額の予算のためだろう、これは司馬が生前は想像できなかったであろう映像となっていると思う。
 戦争を題材にした作品の映像化は確かに簡単ではない。
 思い出したのは浅田次郎の『シェエラザード』だ。
シェエラザード(上) (講談社文庫)
浅田 次郎
講談社
2002-12-13


 小説は、浅田次郎だけあって読ませる作品だ。
 少し、同じようなくだりが繰り返される冗長さを感じるところもあるが、元が新聞の連載だったこともあり、仕方がないかもしれない。十分小説は楽しめる。
 それで、映像化されたものがないかとさがしたら、あった。これもNHKのドラマだった。
シェエラザード 海底に眠る永遠の愛 [DVD]
長谷川京子
ジェネオン エンタテインメント
2005-01-26

 こちらは、申し訳ないが、攻撃を受け沈没する場面がちゃちい感じが否めなかった。予算がなかったのだろう。制作も2004年だから、デジタル技術の面でもまだまだ簡単ではなかったのかもしない。戦争物の映像化されたものの比較として頭に浮んでしまった。
 さて、『シェエラザード』は阿波丸事件といわれる、実際にあった事件をモチーフにしている。
これを題材に、さいとう・たかをはゴルゴ13で『暗黒海流』という作品にしている。
ゴルゴ13(47) (コミックス単行本)
さいとう・たかを
小学館
2013-03-22

 それにしても、今までどれだけの人が、死ななくてもよかった人が、亡くなってしまったのかとため息が出る。